北総佐原 ~ 伊能忠敬記念館と商家の町並み(2025/06/22)

香取市佐原 小野川畔の風景

香取市佐原の伝統的建築物保存地区へ二人で行ってきた。 自宅から京成成田経由約1時間半で に到着。小野川の畔の川岸通りを歩く。佐原は佐倉、成田、銚子と並んで、江戸近郊の四つの代表的町並み群として昨日で紹介されたので混んでいると予想していたのだが、人が少なくてホッとした。 真っ先に訪れたのは、佐原駅から徒歩約15分のところにある。ここは絶対に外せない。

伊能忠敬記念館の外観

地球の大きさを知りたいとの思いから、緯度1度に相当する子午線弧長を測るため、56歳の時に蝦夷地へ出発した。その類まれな情熱と、200年以上も前に正確無比な日本地図を作った偉業に感服。 エントランスホール以外は原則撮影禁止。ちょっとだけとお願いしてノンフラッシュで撮らせてもらう。

伊能忠敬記念館に展示されている北海道の地図

膨大な数の測量を行って描いたであろう海岸線にしばし見入る。

伊能忠敬記念館に展示されている本州の地図

によると、公務日誌には盛岡藩から挨拶があったとだけ書いてある(下の写真の赤い付箋の箇所)が、実際は辞退したとのこと。忠敬の清廉な人柄が窺える。

伊能忠敬記念館に展示されている自筆の測量日誌

測量道具が当時を偲ばせる。

伊能忠敬記念館に展示されている観測道具

記念館の向かいにある「」の大納言小豆アイスクリームと深煎りコーヒーとカフェオレでブレイク。話好きの年配女性が、徳川光圀公屋敷の欄間を利用した照明などの装飾品の説明をしてくださった。窓際に亀梨和也クンの写真が飾ってあったので尋ねると、ここは「東京バンドワゴン」のロケ地なのだとか。 店主が伊能本家17代当主で、年配女性が奥様だということは後で知った。店主の顔をもっとよく見ておくべきだった。

香取市佐原「遅歩庵いのう」の外観

樋橋(とよはし/)を渡り、伊能忠敬旧宅をひと巡り。

伊能忠敬旧宅の土間から外を見る妻

こんな姿で日本を徒歩で一周したんだなー。

伊能忠敬先生之像

We are here now.

香取市佐原観光マップ

小野川の畔をのんびり散策。来月にはが開催される。所々から聞こえてくるの練習の音が、夏の風物詩を感じさせる。

佐原 小野川畔から眺めた割烹「宮定」

空はますます晴れ渡り暑くなってきたが、川辺の景色は目に涼やか。

佐原 小野川畔に立つ私

忠敬(ちゅうけい)橋が見える場所でひと休み。

佐原 小野川畔の床几に座る妻

異なる時代の建物が入り混じって並んでいるのもまた風情がある。

香取市佐原 樋橋上からの眺め
樋橋上からの眺め
香取市佐原 忠敬橋上からの眺め
忠敬橋上からの眺め

案内図を見ると、小野川の近くには市立小学校と中学校、県立高校、私立高校がある。ここが通学路とは羨ましい。

香取市佐原 小野川畔の風景(2)

船着き場に降りて中橋のほうを見る。

佐原 中橋近くの船着き場から見た風景

川岸通りはけっこう狭いので車は通らないと思っていたが、そうではなかった。

佐原 共栄橋
共栄橋

という無料休憩所があったので立ち寄る。中庭でミストを浴びて熱気をさまし、小上がり和室の端に腰掛けてひと休み。

佐原 さわら町屋館の外観

ここに似合うのはやっぱりこれだよねー。

香取市佐原 綿佐・東海酒造の前に佇む赤い丸ポスト
旧綿佐東海酒造前にて

江戸時代、佐原は米や酒、味噌、醤油などの集積地で、江戸への水運の要衝として繁栄した。対岸にあるのはその頃の面影を残す。現在は佃煮類を取り扱っている。

佐原 小野川畔に建つ正上醤油店

こちらは。和紙で作ったぽち袋や封筒、便箋、絵ろうそく、千代紙、お香などを売っていた。敷地の一部は になっている。

佐原 並木仲之助商店の外観

妻がこのあと「」へ行きたいと言うので、駅前の観光案内所で行き方を聞く。シャトルバスは15日で終了、タクシーで片道4,000円くらいとのこと。しかし周辺にタクシーは見当たらず、スマホのアプリでも近くに配車可能な車はない。諦めることにした。 どこかで夕食をと、小野川の畔へ戻る。もうすぐ5時。の運行が終わり、水鳥たちものんびり。

佐原 小野川で泳ぐ水鳥たち

まだ明るいのに人通りが途絶えてしまった。

香取市佐原 小野川畔の風景(3)

食べ処を探す前にで地酒「東薫 Summer Edition」を買う。

佐原 酒店 上州屋の外観

観光案内所でもらったガイドマップにある数軒の老舗日本料理屋を覗いてまわる。どこも予約オンリーか定休日でもないのに閉店していた。日曜日でこれくらいの人出ではやっていけないのかな。 外国人観光客をまったくというほど見かけなかったのも意外に感じた。日本遺産であり、テレビでもたびたび紹介されているにもかかわらず、閑散としているのには何か理由があるのだろう。 川縁を離れて住宅街もちょっと歩いてみたら、落ち着いた雰囲気のとても住みやすそうな所だった。観光公害が問題になっている今、普通に暮らしている人々にとっては、この環境がかえって良いのかもしれない。 川と商家がある風景と江戸時代の水運の要衝という成り立ちが、かつて訪れたことがある倉敷の美観地区に似ている。しかし、あまりにも観光地化した倉敷よりここのほうが断然好きだ。 美味しい夕食にありつけたら最高だったのにと後ろ髪を引かれる思いを抱きつつ、乗換駅の JR 成田まで移動。以前に飛び込みで入って当たりだった「」は残念ながら休み。近くの大衆居酒屋「目利きの銀次」で爆食い爆飲み。

成田 目利きの銀次のメニュー

縞ほっけは大きくて身がふっくらしていて美味。厚焼き玉子も合格。とにかくどの料理も安い。総合的にこの店は当たり。経験上、和食店は厚焼き玉子かだし巻き玉子でレベルがだいたい分かる。 家を出てから帰宅まで二人合わせて30000歩越え。よく歩いたなー。

POSTSCRIPT(2025/06/25) CSで深夜に放映された の訪問地は佐原と香取神宮。小野川沿い以外にも、などの見処がたくさんあるということが分かった。佐原という街はけっこう奥が深い。日曜日に JR 佐原駅に着いたのは午後2時。それじゃ遅すぎと今になって反省。

POSTSCRIPT(2025/07/04) 今日の日経に「稼ぐ地方創生」と題して佐原の の記事があった。まず「測量家」伊能忠敬という箇所にカチーン。ほかに言い方はないのかね。ボキャブラリーが貧弱。NIPPONIA は京葉銀行の子会社であり、社長曰く、稼働率は低いが、地域活性化が目的なので利益は少しでよいと。また、自転車や電動キックボードのレンタルを充実させてインバウンド誘致を図りたいとも。それだけは止めてほしい。

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